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シング・ストリート 未来へのうたのmartroniksのレビュー・感想・評価

4.2
同監督の「ONCEダブリンの街角で」「はじまりのうた」2作品がとても良い音楽のドラマだったので、過剰に期待しての鑑賞。
こういう場合は大概ガッカリするものだけど、その期待を軽く超えてきた。
自分が一番音楽漬けだったのは90年代だったから時代的には少しズレているけど、バンドを始める青臭さ・初々しさだとか動機の不純?さ(女の子)だとか影響を受けたバンドの格好を真似たまま学校やバイトへ行ってしまう痛さだとか親の不仲や学校での居心地の悪さからの音楽への逃避だとかは同じ様な事をそのまま経験してきたので、感情移入っぷりが本当にハンパなかった。
ただ決定的に違うのは主人公やバンドのメンバーみたいに作詞作曲する能力が皆無だったし演奏力も乏しかったので、どちらかというと兄貴だとかいじめっ子だとかラフィーナなんかの「才能無い組」への感情移入が強かった。特に兄貴。自分の中では彼が主人公と言ってもいいかも。ああいう、二面性があるキャラクターには弱い。彼の葛藤に共感して涙腺決壊した。
音楽ドラマの要である、楽曲がちゃんと良いという点も素晴らしい。音楽ドラマではないけど、なんとなく「サニー永遠の仲間たち」を思い出した。
10代にバンドを始めた経験を持つ者にはきっと響くであろう、珠玉の作品。
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