囚人13号

Moonrise(原題)の囚人13号のレビュー・感想・評価

Moonrise(原題)(1948年製作の映画)
4.8
宙吊り≒絞首刑というサスペンスのイメージ。ムルナウと同時期に男女のメロドラマを撮っていたボーゼージはここでノワールというジャンルを駆使して目配せを行っている。 日の出(Sunrise)に愛が成就する男女に対し、月の出(Moonrise)の間しか愛し合えぬ男女。

幼児期の爆速モンタージュから喧嘩/自動車事故の見せ方が卓越していて、多重露光というサイレントの演出をトーキーに持ち込んだ強かさこそがフォードやウォルシュらと並んで過渡期を乗り越えてきた監督術なのだと確信。

カメラワークも宙吊りのようだと吐き捨てて観覧車から飛び降りるデイン・クラークの主観、ドローンで撮ったとしか思えない屋敷への完璧なズームなど忘れ難い例が多い。ラストの墓と犬は分かってても泣ける。
囚人13号

囚人13号