めい

ダゲレオタイプの女のめいのレビュー・感想・評価

ダゲレオタイプの女(2016年製作の映画)
3.4
「此処と彼岸の境界」

 主人公ジャンは世界最古の写真撮影法ダゲレオタイプの写真家ステファンの助手になり、彼の娘でモデルのマリーと恋仲になる。長時間モデルの身体を拘束する撮影から、ジャンはマリーを救おうとするが……。

 黒澤清監督の、観る者を不安にするカメラワーク、此処と彼岸の境界を暗示する構図やショットなど、黒澤清監督の映像世界が存分に発揮された作品だった。どこからが現実でどこからが幻か、永遠と一瞬、生と死、主観と現実の曖昧さに、ずっと不安になりながら観た。
 最後が分かりやすすぎたのがちと残念…。

 この前観た黒澤清監督の『クリーピー 偽りの隣人』も、ダゲレオタイプの女も、どちらも主題は好きなのだが、最後が明快すぎて、監督の持ち味の後味の悪さが足りなかったのが、個人的には不満だった。
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