グラビティボルト

夜よりも深い闇のグラビティボルトのレビュー・感想・評価

夜よりも深い闇(1946年製作の映画)
4.4
これもヤバい。
序盤は田舎で休暇を取った刑事が、宿の娘に恋するメロドラマ・・・なのだけれども、橋下で彼女の遺体が発見されてからは一気にサイコサスペンスへと変貌していく統合失調型の怪作。
終盤、男が格子の向こう側に夢を視るショットに戦慄した。

思えば冒頭、やたら足元のショットのみで展開する主役紹介からしてただ事ではなかった。
彼の歩みの性急さと穏やかそうな面構え、佇まいが醸し出す違和感が
最終的に「二重性」として観客に突き付けられる。
似顔絵師の描いた犯人像に
「顔が描かれた瞬間」の戦慄、
足跡の合致、格子越しの視線、
全てが証拠となって男を追い詰めていく。
遂に警官相手に凶行を仕掛けるシーン、背後を左右に歩く警官の無機質さと怪奇映画的な照明が合わさって
頭にこびりつく名シーンになっていると思う。