ROY

夜よりも深い闇のROYのレビュー・感想・評価

夜よりも深い闇(1946年製作の映画)
3.8
In the dark jungle of a man’s mind lurked an irresistible impulse to murder!

婚約者とその恋人の謎の失踪事件を解決しようとする刑事

■STORY
パリの名刑事が休暇で訪れた田舎で若い娘に恋をするが…。悩める中年男の恋バナが一転、娘の許嫁が殺され犯人探しが始まる。雨が打ち付ける列車の窓、執拗な靴の描写、暖炉の熱で歪む画面、長回しと異様な照明にルイスの演出が冴えわたる。人間の怖さを克明に描くサイコ・ノワール・メロドラマの傑作。(シネマヴェーラ渋谷)

■NOTE I
同時代のハワード・ホークスやビリー・ワイルダーのように、ジョセフ・H・ルイス(ガンクレイジー)は多くのジャンルに手を出したが、フィルム・ノワールの伝統に秀でていた。ヒッチコック風の謎と陰謀の物語である『夜よりも深い闇』は、彼の最高傑作のひとつである。パリの名探偵カッサン警部は、休暇をとるために田舎に出かけた。彼はそこで宿屋の娘ナネットと恋に落ちる。ナネットはすでに地元の農夫と婚約していた。婚約パーティーの夜、ナネットと農夫は共に姿を消す。カサンは早速この事件を取り上げ、二人に何が起こったのか、そして誰が犯人なのかを突き止める。ノワールの傑作として名高い『私の名前はジュリア・ロス』や『暴力団/ビッグ・コンボ』と同様、ルイスはこのジャンルが魅せる最高のノワールタッチを、バーネット・ガフィ(『俺たちに明日はない』)が美しく撮影している。

https://cinemaclassics.com/product/so-dark-the-night/

■NOTE II
B級映画の大きな楽しみのひとつは、お気に入りの個性派俳優が主役に昇格するのを見ることだ。たとえば、『札束無情』では、威嚇的なタフガイ、チャールズ・マックグローが防弾警官に変身し、ハンガリーからの移住者スティーヴン・ジェレイは、数多くの映画で洗練されたマイスターやウェイターとして活躍しているが、今回は小さな町の宿屋の娘の殺人でその婚約が崩れ、パリで探偵として働くという設定だ。犯人を捕まえるため、ジェレイは奇妙で曲がりくねった道を進み、容疑者を尋問する一方で、獲物は常に一歩先にいる。ゴシック映画の傑作『私の名前はジュリア・ロス』に続くこのスタイリッシュな作品で、ジョセフ・H・ルイスは、彼の映画に真の映画ファンに愛される目まぐるしい強さを与える、予想外のストーリーと大胆な演出力を明らかにする。カルト的な名作として再発見されることの多い『夜よりも深い闇』は、コロンビアの重役たちの目に留まり、ルイスに大予算の仕事を依頼するようになったが、彼は階層の低いスタジオで得た創造的自由を手放したくないために、断固として拒否するようになった。

Haden Guest『Viennale』https://www.viennale.at/en/films/so-dark-night

■COMMENTS
全編フランス語訛りの英語でクセになる

60〜70分くらいのノワール好きだ
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