たく

不滅の女のたくのレビュー・感想・評価

不滅の女(1963年製作の映画)
3.5
アラン・ロブ・グリエ監督デビュー作。
イスタンブールに移住してきた男が謎の美女に出会い、ひとときの逢瀬を経た後に突然目の前から姿を消す彼女を追っていく話で、時が止まったように動きを止めた人々がグリエ監督自身が脚本を担当した「去年マリエンバートで」に似た演出だった。

自動車事故の女性の悲鳴から始まって、ギョッとするような美女のアップが静止画と思ったらちゃんとカメラが回ってる。
全体に時間軸が存在しない感じの断片的な映像の繰り返しで、同じ場面が少しずつ違う状況で再現するのが「去年マリエンバートで」と同じく記憶の書き換えってことなんだろうね。彼女が何度もこの街は嘘で作られてるみたいなことを言ってて、トルコ民謡のBGMが幻想的な雰囲気を高める。サングラスをかけた犬を連れたおっさんや地下を案内しようとする少年、教会の前に座ってる老人の場面が何度も出てきて翻弄される。

まあとにかく難解なんだけど、作中で起こってることはすべて非現実的で、死ぬ前の走馬灯みたいなことかなと思った。
題名は、おそらく最初から存在しない女性だから不滅ってことだよね。
たく

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