KEKEKE

パターソンのKEKEKEのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
5.0
- 習慣を愛する男の物語
- 時間は太陽系のループの中にあり、それに伴う身体のリズムそれ自体である
- アリストテレスも言ってた、人間とは物事を繰り返す存在であるって

- バス運転手は人間社会を回遊する魚のように、決まった時間に人を乗せ目的地まで運んで行く職業だ
- つまりパターンを支える仕事、習慣を作る仕事
- 彼にはスマホも目覚ましも必要ない、自分のパターンの中に生き、その繰り返しの中で自由にありたいと願う人間
- その習慣こそが彼の独自性であり、その習慣の堆積こそ彼が紡ぐ詩なのである

- ともすれば習慣はただ毎日ループするだけの反復動作にも思える
- しかし具に観察すればそれはその実差違を生むためのメディウムであることが分かる
- 習慣は生活という水槽の中で合流し変化する波紋のようなもので、あらゆる挑戦やそれによる失敗は、互いの波紋がぶつかることにより成立する至極社会的な現象だ
- 自分だけのパターンで形作られる習慣などありえない
- もしあったとしてもそれにはリズムやルーティンというより、マンネリやループという言葉が相応しい
- 普段と違うことを嫌うのも、新しいことに挑戦し続けることも、同じパターンの中にいるからこそできること
- 差違も同一も繰り返しの中にしか生まれない

- パターソンにとってローラやマーヴィンは、同じ習慣の中にいるかけがえのない存在でありながら、自分のパターンの輪を壊す愛すべきチャレンジャーでもある
- 自分の生活に新しい何かをもたらすのは常に他者で、変化する恐怖と挑戦する素晴らしさを教えてくれるのも全て他者だ
- 人間とは習慣の存在で繰り返しを愛する生き物だからこそ、他者によってパターンが壊された時に、初めて白紙のページから物語を紡ぎ始めることができる
- 習慣を愛することは人間を愛すること、同一と変化は相容れないようで双子のような存在なのかもしれない
KEKEKE

KEKEKE