ブタブタ

パターソンのブタブタのネタバレレビュー・内容・結末

パターソン(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

パターソンの街に住む同じ名前のパターソン(アダム・ドライバー)の1週間。同じ「詩」がテーマの映画としてどうしても『エンドレス・ポエトリー』と比べてしまうのですがホドロフスキーとジム・ジャームッシュ、二人の監督による「詩」がテーマの映画でも両者は全く違っていてホドロフスキーがその脳内世界まで視覚化して再現して見せるのに対して『パターソン』は飽くまでもパターソンの心の中、日々の変わらない毎日は妻との慎ましくもアーティスティックなローラ(ゴルフシテ・ファラハニ)との楽しい生活、毎日決まった通勤コースと規則的に仕事をキッチリとこなす、変化というモノを求めない、そしてそんな中にも訪れるちょっとした出来事、だからこそその全てが架け替えのない宝物以上に大切なもの。
妻がパターソンの詩を世に出そうと言う意見に渋るのもパターソンは妻との生活が大事でそれに少しでも変化を加える事や壊す様な事は避けたいからでしょうね。
マーヴィン(ワンコ)が「秘密のノート」をビリビリにしてしまいますけど、いつもは地下の書斎(この地下の書斎のデザインもいい。憧れます)に大切にしまってある筈のノートをソファに出しっぱなしにしたのは「敢えて」なのでは?
パターソンにとっての「詩」は自分だけのもの。
人に見せたり評価されたりするものではない。
パターソンは妻との「詩のコピーをとる=発表する」の約束も守りたいし、でもやっぱり詩は飽くまでも自分だけのモノ。
その折衷案として「わざとノートを出しっぱなしにして後の運命はマーヴィンに任せる」という道を選んだのでは。
でも秘密のノートを失ったダメージは大きい(笑)
ラストに余りに唐突に現れる日本人の詩人(永瀬正敏)はそんなパターソンに神様が使わせた天使じゃないでしょうか。
そんな奇跡があってもいいと思う映画でした。
ブタブタ

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