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パターソンのhitomiのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
3.0
いろんな人からオススメされてやっと鑑賞。

心に残らなさそうで残る、じわじわ系。
心のどこか奥底に残る作品でした。

当たり前の日常を当たり前に描くって簡単なようですごく難しいよなあって思います。
作り物である映画でそれを見せるってすごい洞察力だなあと。無意識を意識的にするって難しいのに。


日常系であることには間違いないんだけど、どうしてもひっかかるところが多くて単純に楽しめなかったのも事実。


以下若干ネタバレあります。




まず、奥さんの交友関係のなさ。
彼女は専業主婦なのかな。とにかく家から出ない。買い物にも友達に会いにも行かない。映していないだけと言えばそれまでだけど、じゃあなぜそれを映さないのか。
彼女が持つ唯一の他者との交流が旦那であるパターソンだけ。
それってものすごく閉鎖的な気がする。だから創作活動に熱心になるのかもしれないけれど、わたしにはあれが狂気にしか見えなかった。表現が好きならどんどん外に発信すればいいのに。パターソンには世に出すことを勧めるのに、自分はいいのかな。カップケーキだけで満足なのかな。そこがなんとも不思議。

でも、もしかしたらアメリカの商業文化への反旗を翻しているのかも?なんでもやたらめったら商売にするもんじゃないってこと?でもそうだとしたら描き方が変わる気がするんだよなあ、、むずかしい。

あともう一つひっかかったのは、パターソンの喜怒哀楽の変化。彼が声を上げて笑ったり、焦りを露わにしていたこは唯一バーでだけ。妻の前では感情の起伏がなくていつも同じ表情。勤務中であっても乗客の話を聞いてフッと頬が緩むのに。
見た目だけじゃ分からないけれど、あくまでもこれは映画作品だからこそ見た目だけで判断するけれど、彼は果たして幸せだったのか?

幸せの定義は人それぞれだし、十人十色だから自分の価値観を押しつけたくないけど。「日常を穏やかに過ごせている」と捉えるか、「マンネリ化している」と捉えるかの違いかな。わたしにはマンネリ化しているように見えてしまって、これから先半年後、1年後、3年後…が勝手に不安になってしまった。笑


そんなこんなで、色々考えさせられました。何も起きない映画って考えること多いよね。それがすき。
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