第三のロース

パターソンの第三のロースのネタバレレビュー・内容・結末

パターソン(2016年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

主人公と、街と、映画のタイトルが同じであることが、強烈な意味を持っている。冒頭で置きぬけの女性が「双子の夢を見た」と言い、街では何度も双子に遭遇する。映画全体が、主人公の見た夢のようなものであり、内面の話であることが示されている。登場するほとんどの人物やアイテムが主人公の分身だ。バスも犬もノートもビールも主人公の分身。
ただし何人かの女性は他者として描かれる。なんだかんだと内面に踏み込んできたり、お金のことを言ってきたりする。できることなら他人や俗世とかかわりたくない、繊細すぎる主人公が愛らしい。
滝や水(青)を見て、世界がpoeticであることに気づいて新たなノートを手に入れ、また詩を書き始めるエンディングが美しい。それは新しい出発でありながら、これまでの日常と地続きになっている。