みむさん

ロストックの長い夜のみむさんのレビュー・感想・評価

ロストックの長い夜(2014年製作の映画)
3.8
EUフィルムデーズで上映してたやつ。
新作「ベルリン・アレクサンダープラッツ」も良かったブルハン・クルバニ監督作。

ドイツのロストックで実際に起きた難民収容所襲撃暴動事件を、ネオナチの青年たち、その青年たちの一人の父であり政治家、難民のベトナム人の3つの視点で描いたもの。

ずっとモノクロで描くのかと思っていたら暴動が始まるとカラーに。青年たちの怒りと鬱憤が爆発するのを象徴しているようだった。

青年たちの行動にも理由がある。きっかけとなってしまった友の死があり、元をたどればかつて栄えていた町の衰退による不景気があり、貧困にあえぐ市民がいる中で難民保護に国費を充てるということがあり。
旧東ドイツ時代も貧しかったがまだマシだったと言う。
暴動で集まった人は若者ばかりではなく大人もいる。

そこを何とか改善していくのが政治家の仕事だが、ステファンの父は長いものに巻かれてしまってなにもできない。
政治家として、父として、息子が暴動の中心にいるのをどんな気持ちで見ていただろうか。

一旦ほっとしてからのあのラストシーンがめちゃくちゃグサっとくる…

全体的にフランス映画「憎しみ」と似てる(あちらは格差貧困からくる怒りと警察不信が引き金で暴動、全編モノクロ)