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オルメイヤーの阿房宮ののんchanのレビュー・感想・評価

オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)
3.6
シャンタル・アケルマン作品鑑賞11本目、これにて終了。

少しづつ観続けて来たアケルマン。
別格物で圧倒された『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』以上の作品には出会えなかった。

先ずこの邦題、阿防宮がピンと来る方はよほど知識ある方しかいなくない?意味わかりませんよね?
原題の『La Folie Almayer/Almayer’s Folly』のFollyって雨風を凌ぐ建築物のことを言っているのです。
Follyには他に愚かなこと、愚かさ、愚劣、愚行の意味もあるので『オルメイヤーの愚行』とした方がピッタリ来たかも。でも観れば理解しました。


『囚われの女』の主役シモンは色白のキモイ男でしたが、スタニスラス・メラールが11年後に再び主役を演じています。
こちらは雰囲気がガラッと違い、渋みも出て野生味はあるが、これまたどうしようもない夢破れ落ちぶれ果てた男になってます。

ジョセフ・コンラッドの処女小説をアケルマンが脚色しています。


東南アジアの奥地の湖畔の小屋で暮らすオルメイヤーは、愛のない現地妻との間に生まれた娘ニナを溺愛している。白人の教育を施そうと外国人学校の寄宿舎に入れたが、虐めに遭い孤独に耐えられず、父親へ恨みすら感じていく。
街からジャングルへ戻って来たニナは地元の青年と生きる決心をする。ついにオルメイヤーの異常な愛情が壊れていく...


通の方はスコア高めのようですが、私には不必要な長回しと感じられるところが多く、あと30分短く出来た気がしてしまった。
東南アジアの湿度と虫や生き物の中で暮らす不潔で臭うような生活感が見るに耐えず。

ラストの長回し...スタニスラス・メラールのバサッバサの長い金色のまつ毛を延々と眺めました。
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