半兵衛

オリオンの殺意より 情事の方程式の半兵衛のレビュー・感想・評価

3.5
父親を憎悪する青年と父を亡きものにせんとする義母、二人のロマンポルノらしい肉体を交えた駆け引きが本作がデビュー作品となった根岸吉太郎監督による演出により神代辰巳や西村昭五郎といった先人のポルノ作品とは違うふわふわとした軽さとその中になんともいえない寂しさが感じられる不思議なポルノ作品へ。でも主人公の誰かと繋がっていたいような、でもそれを決して強く欲しがっていない面倒臭い主人公の心情に共感できるかどうかでこの作品の面白さは変わってくるのも事実(自分は共感できるタイプ)。

正直お話はいかにも当時ロマンポルノで映画化されていた勝目梓らしいロマンエロスの内容に留まっていてそれほど面白味はないし、後半の父を殺害するシークエンスが唐突で面食らうけれど合間に出てくる飛行機や主人公と仲良くなる少女(後にポルノやテレビドラマで活躍する亜湖が好演)の限りなく薄くも仄かな楽しみを味わうようなライトな演出がクセになってくる。

個人的には少年と義母が中盤仲良くスキンシップをとっている姿が心に残る、お互いの距離を掴めずつねに虚々実々の駆け引きを繰り広げていた二人だけれど本当はこういう風に仲良くしていたかったのかもと思うと切ない。

でもあのラストは唐突すぎて理解に苦しむけどね。
半兵衛

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