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バースデーカードのKUBOのレビュー・感想・評価

バースデーカード(2016年製作の映画)
3.8
紀子(橋本愛)の誕生日に、亡くなった母(宮崎あおい)から毎年バースデーカードが届くって、ベタな泣かせる映画かな(?)と思いながら見始めたけど、いやいや、温かくい〜い映画でした。

お母さんが入院中、家に帰ってきて娘が「お母さんは治らない!」って言うシーン。私も昔、同じシチュエーションがあって、幼稚園児の息子に「ママ、死んじゃうの?」って聞かれて困ったのをリアルに思い出した。おかげさまで私の妻は癌サバイバー。何度か手術・入院を繰り返したけど、今は元気に生きてます。

バースデーカードは毎年紀子に何かしらのミッションを課す。小豆島に母の親友(木村多江)を訪ねていく件。紀子は母の青春を追体験するように島での日々を過ごすが、私は自分の青春時代なんて恥ずかしくて子供に見せられない(^^)。

この作品は感情移入できる目線が2つあるのが良い。ひとつは娘・橋本愛の目線。もうひとつは母・宮崎あおいの目線。もちろん私は男ですけど親として宮崎あおいの目線で見させていただきました。

ただの泣ける映画ではなく、いろんな小ネタが仕込んであるのが笑えるし懐かしがれる。

一番のネタは、実は全編を通して出てくる「アタック25」! 児玉清〜谷原章介まで、歴代の司会者の移り変わりが時の流れを表すという懲りよう。

紀子が学生の頃に学校さぼって見た映画が「セーラー服と機関銃」って、私と同世代(?)とか、

劇中で出てくるピンクレディ解散コンサートのパンフって本物(?)とか、同じ時間を生きてきた者には楽しい。

先だった母が書いた、娘が20歳になるまでのバースデーカード。その間に娘が通り過ぎる、家族との時間、友だちとの出会い、恋愛。バースデーカードと共に成長する紀子を描いた優しい優しい作品。

吉田康弘監督は『かぞくいろ』試写の後にお会いしてお話しする機会がありましたが、若くてイケメンの素敵な監督さん。この人の作品は、家族というものを本当に優しい目で描いている。

純白のウエディングドレスを着た橋本愛の美しさ! ファンにはこれだけでも必見です。
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