このレビューはネタバレを含みます
地球のものではない何かとの共存。
それとも破滅?
私の中のホラー定義にぴったり当てはまる、美しいホラー映画でした。こういう作品大好き。
愛する夫のために向かう妻。
メンバーは全て女性というのには何かメッセージ性があるのかなぁと思いつつも、物語は進んでいきます。
音楽もうっそりと、森の中にいるようで美しいのに、どこかで何かが見ているような不気味さもあって、面白かったです。
わけのわからないものの恐怖と、それに魅了されるという辻褄の合わない感情。人がおかしくなるには十分すぎる過酷な環境で、背筋が微妙にむず痒くなっていきます。
パニック映画、とはいかずとも着々と気味悪さ、グロテスクさは体と心を徐々に蝕んでいきます。本作品のように、DNAに何かが刻み込まれていくよう。
基本的に、別の何かに触れられたらそこで最期!というような作品が多い中で、2度、3度と触れ合いつつもまだ侵食されていないというところが、面白いなぁ…と思いました。
私たちと同じように、彼らも触れることが怖いんだろうか…と考えたり。
そして、終盤の彼らが燃えていく様は
宝石が落ちるように美しくて、果たして本当にこれでよかったのか?本当は私たちを救おうとしてくれたのではないのか?と、感情が揺らいだり。
そんなふうに考えてる自分自身を後々、客観視すると美しいというのは人の心も惑わすのか。と人間性を面白く感じました。
そしてラストシーン。夫の姿を模した別の何かとのハグ。
こうやって彼らは心の隙間に入り込んで、共存して新たな生物を生み出すのかな…?と考えたり、
瞳が2人ともおかしく輝いたところで、もしかしてもう既に2人は私たちの知らないところで別の生物に成り代わられていたのかな…と思ったり。
嫌悪感とワクワクの止まらない最期。人類にとって希望であり絶望でもあるようなラストシーン。
人間にとってわけのわからないもの=ホラーと考えている私にはとても面白い作品でした。