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ノー・ホーム・ムーヴィーのotomのレビュー・感想・評価

ノー・ホーム・ムーヴィー(2015年製作の映画)
5.0
シャンタル・アケルマン遺作。『家からの手紙』での母親とのちょっと反抗的な手紙のやり取りから、世界が近くなったスカイプでのやり取りで老いた母に対する接し方も変わる現代(母親の方は変わらずなのがまた)。遠方であろうとまたは家に滞在していようと、どちらも愛情は変わらずなものの、昔も今も現実との接し方に悩むシャンタル嬢が垣間見える感じがする。次第に死期が近付く母親を撮影しながら、考えるのをやめる、もしくは只々自分達のルーツ(同時に未来)みたいな不安を抱えながら疾走する荒地シーケンスを挟み精神の平衡を保つ感じが結構痛い。定点撮影で誰も映ってなくとも母親の気配だけは感じる大部分から、ラストの静けさは年老いた親を持つ身としては結構エグってくるものがある。
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