垂直落下式サミング

HK/変態仮面 アブノーマル・クライシスの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
少年ジャンプで連載されたカルト漫画の実写化作品の第二作目。今回は変態パワーを失った変態仮面がヒーローとしての責務と自己のアイディンティティーの狭間で、一人の人間として揺れ動く続編となっている。
変態仮面を演じるのは、前作に引き続き『俺物語』の剛田猛男役で本気コスプレ俳優としての地位を確立させた肉体派俳優 鈴木亮平。奴がパワーアップしてスクリーンに帰ってきた!今回もいい裸を披露してくれました。僕の大好きな裸芸人の方々のような肉体的な説得力から生じる身も蓋もない異物感。漫画原作映画はこの作品みたいに、役者さんをとにかく本気でコスプレさせるべき。
前作は変態仮面“ビギンズ”だったが今回の続編は“クライシス(危機)”。本作では、恋人との心のすれ違いから変態仮面は変態パワーを失ってしまい、今一度彼の変態としてのアイディンティティが問い直される。
要するに『スパイダーマン2』だ。冒頭のピザの宅配シーンは言わずもがなだが、スーパーパワーを失ったヒーローが悩むという構図や、恋人を敵役に拐われ覚醒する展開も同じで、MCU作品のスタジオロゴムービーをパクっている上に、影絵とグラフィックで前作を振り返るサム・ライミ版のマネ以外の何物でもないオープニング映像が流れる。更には摩天楼を駆け上がりながら敵と対決するCG等、最初から最後までひたすらパロディ。
悪ふざけにみえて変態仮面というキャラクターのキモを大きく外してはいない。というか、これがど真ん中まである。漫画原作として案外堅実に作られた映画だと思う。