しの

ザ・コンサルタントのしののレビュー・感想・評価

ザ・コンサルタント(2016年製作の映画)
3.1
はじめに言っておく。わかるんだ。
ベンアフは効いてるし、設定もうまいし、プロットも賢い。好きな人がいるのもわかる。わかるんだが...。

ただ、僕はこういう映画に「で、結局なんの話だったの?」となる人間だった。

というのもこの映画、単に「ベンアフカッコいい!」「悪党をブッ飛ばせ!」に振り切ってるわけでもない。むしろそういう従来のジャンルに自閉症だとか家族だとかいう要素をプラスして、より複雑なものにしている。
ということは、単にビジュアルや雰囲気で盛り上がるべき話でもないということだ。ことなのだが......イマイチそのプラス要素が活きているように思えなかった。
恐らく、自閉症のような障がいも「個性」なのであって、そういう人々も何か偉大なことを成せるということを言いたいのだろうが...。ぶっちゃけそれくらいなら設定を聞いただけで映画を観なくても想像できるし、逆に言えばそのような安易な着地でも見応えあるものにするだけの作りにはなっていなかったと感じる。どうしてもアクションやサスペンスの方に比重があった気がするからだ。

基本的に僕は中途半端な映画がニガテだ。雰囲気に酔いしれる映画ならそれでいいし、悪党をブッ飛ばす爽快感を味わう映画ならそれでいいし、ひたすら映像で攻めてくるならそれでいい。問題はそこで更に感動的な展開にしたり、普遍的な何かを伝えようとしてくる作品だ。これが一番困ってしまう。
何かを伝えたいのなら、映像の凄さだったり脚本の緻密さだったり設定の妙だったり全体を支配する雰囲気だったりは、全てその「伝える」部分に奉仕するものであって欲しい。つまり、作品全体に一本の軸が通っていて欲しいのだ。それがまず僕が映画を評価するにあたっての第一歩なのだと、この作品は改めて思い出させてくれた。
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