真城

ザ・コンサルタントの真城のネタバレレビュー・内容・結末

ザ・コンサルタント(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

天才はある1つの物事へ異常に特化しておりステータス割り振りがバグっているというのは世の常で、主人公が患っている高機能自閉症もその1つ。本作はそれをわかり易く大胆にアクションを混じえ展開したものだと感じます。
その為、分類上サスペンス又はドラマと言った方向性が大きくなっていきド派手なアクションを見たかったと期待している方には物足りないかもしれません。

作中のアイテムやキャラクターの様々な部分に拘りを感じます。

主人公ウルフのコミュニケーションは無機質で基本無表情ですが好きな分野(ここではアートなど)の話になれば少しだけ笑顔になっていたり刑務所を脱走した経緯についても激情し感情コントロールを失うという繊細さが伝わってきます
物語の中で自分の精神的コネクションに内在する「通じ合える人間」を損得感情なしに大切していて、時にそれは家族と同じレベルに達しているように見えました。

元軍人である父の訓練は見ているとスパルタであったり下手をすれば虐待と言われそうなものであったが物語中盤でウルフは父が軍人心理を担当していたと発言し、大きく父のイメージが変わりました。私の中でそれは心理学を初めとし統率、社会学、集団、医学、人間工学、態度、動機づけのプロである事を意味します。
よくわからない誰かに任せるより父親である自分がしっかりとサポートしてやる、という強い意思と不器用な愛に合点がいきました。
軍人心理学の知見からの対応がウルフにとって最適だったのか、の善し悪しは人それぞれ思うとこあるかもしれないですが。
伏線回収も気持ちよかったです。

トレーラーの寝室天井にあった絵画は一見ただの現代アートにしか見えませんが科学的に深いフラクタル構造があるようです。それにより鑑賞者を落ち着かせる作用があり、数学部分のフラクタルと自閉症部分の精神安定を兼ね備えたこの絵画のチョイスがウルフらしさを引き立たせており本作への丁寧さを感じた、しかもそれをデイナに贈るという信頼関係も最高。

このレビューでアクションのことが全然伝えられなかったけど単純にベン・アフレック超かっけー!役作りすげー!みたいな感じで見ていたのでここら辺で切り上げます。
真城

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