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ヒトラーへの285枚の葉書のaririのレビュー・感想・評価

ヒトラーへの285枚の葉書(2016年製作の映画)
3.7
実際にあった事件を元にした物語。ナチスへの抵抗運動は様々あったけれど、あくまで労働者階級の一市民の抵抗という事で内容はシンプル。だが、主演二人の演技が良かった。

心配する妻に対して夫が「私は自由になった」とキッパリ言うシーンが印象的。何一つ止める事は出来なかった活動だけれど、どんなに統制された社会でも、個人の自由な意志は誰にも統制する事は出来ない。終盤の夫の堂々とした姿はそういった心情の表れだし、回収されてない18枚の葉書がそれに共感する市民の声なき訴えのように思えた。

ユダヤの老婦人がヒトラーユーゲントの青年に優しげに声を掛ける所や、ゲシュタポ捜査官のラストシーンはとても悲しかった…(ダニエル・ブリュールは最近こういう悲しい悪役が多い?w 例→シビルウォー)裁判の前に覚悟の言葉を交わす夫婦に思わず涙…。

欲を言えば、息子の人となりの描写が全くなかったのは少し寂しかった。独英仏合作と聞いて、何でフランス?と思ったら監督が俳優のヴァンサン・ペレーズだった、ていう…(久々に名前を聞いた)
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