テレビの予告で見かけて、録画して鑑賞した。
大正解。
ヒトラー政権下の40年代初め、戦争で一人息子を亡くした労働者階級の夫婦が総督を非難する内容を書いたはがきを街中に置くという、ささやかなレジスタンス運動を開始する。
危険な行為に、否が応でも緊張してしまう。同時に、命がけで信念を全うする夫婦の強い意志と絆に感動する。
ドイツが舞台なのに英語で会話する。普段はこれをあまり好ましいと思わないのだけど、監督のインタビューで「世界に発信するため」との意図を知った。
監督が伝えたかった事とは
その昔、頑張った人がいたという史実にとどまらない。
小さな声が誰かの心を動かし、やがて体制を動かすこともあるのだという希望。この映画は今、そして未来に向けて私たちがすべきことを教えてくれているのだと思う。
その意味で、ダニエル・ブリュール演じる警部が、オットーの捜査をするうちに心を揺らしていくことや、回収されない葉書が残ったところは大きな意味を持つ。
ラストシーンでは、警部が主のいなくなった部屋の窓から籠の鳥を逃がした場面が蘇る。空に羽ばたいた鳥に警部の姿を重ね、涙が出た。