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ヒトラーへの285枚の葉書のMayumiMのレビュー・感想・評価

ヒトラーへの285枚の葉書(2016年製作の映画)
4.7
ゲシュタポの文書記録をもとにして終戦直後に書き上げらけた小説を原作にした、息子を戦場で失った一労働者夫婦の物語。
バリバリのヒトラー政権下にして第二次大戦下のベルリンを舞台にしているわりには、戦争という実質的なインパクトは導入部である息子の戦死シーンと、終盤近くの空襲を受けた街の様子(しかも通りすがりの一瞬)しかない。なのに、帝国の盛衰が国民生活の空気に巧みに表現されている絶妙感。戦時下とは思えない緻密な捜査を続ける警部とは裏腹な独断と横暴を見せるSS将校。新聞でさえ真実を書かない時代に紙とペンで戦ったオットーとアンナの勇気は鳥肌モノだけど、時代に即るのが正義ではないと謳うテーマに思わず(=_=)ウゥムと唸ってみたり。
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