tjr

サイドウェイのtjrのレビュー・感想・評価

サイドウェイ(2004年製作の映画)
-
今作でも、ままならない人生にもがく男を優しく包み込むアレクサンダー・ペイン印は健在。
「ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!」(それにしても酷い邦題)に続き教師が主人公。小説出版が叶うかの瀬戸際で、2年前に離婚した妻を引きずるワイン通という、設定だけでクセまみれなスタート。

マヤとのワインを通した人生論は珠玉のシーン。
繊細なピノ・ノワールを元妻に、強くて華やかなカベルネをマヤに当てて持論を展開するマイルスに対し、ピークを過ぎたワイン(=マイルス)も良いと大人な返しのマヤがクール。

親友ジャックはどこまでいっても憎めないが、マイルスの望む物を全て手にしているという皮肉。
ワイン通の元妻ヴィクトリアだからこそ酒を飲めなくなっても良いという決断の重さが響く。

冒頭の母親とのシーンとヘソクリを盗む行為、自殺についてなど、宙ぶらりんだった点と点を繋げて予想もしない絵を描く留守番メッセージがお見事。
61年物のシュヴァル・ブランで主人公の変化を見事に示したラストも圧巻。
tjr

tjr