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リトル・マーメイドのラムのネタバレレビュー・内容・結末

リトル・マーメイド(2023年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

もともとアンデルセンの人魚姫の童話が好きだったこともあり、特別思い入れのある作品だった。

アニメ版「リトルマーメイド」は劇場で見ることなく、テレビで見ていたので実写版は絶対劇場で観るぞー!と思っていた。

上映前から色んな事を言われているのを目したけれど、それは映画を見終わって自分がどう受け止めたかが1番の答えであり、正解なのであまり気に留めず映画を見ることができた。

ストーリーはアニメにとても忠実な所と、変わったいた点があった。

※ここからかなりがっつりネタバレするのてご注意


変わって少し残念だった点。
ウツボが喋らない。
アースラの黄金の契約書が登場しない。
アースラにトドメを刺すのがエリック王子じゃなくてアリエル。
ここは見ていて少し残念に感じてしまった。

良かった点
アニメだとどうしてもキャラクターの心情の掘り下げが浅かったり、物足りなく感じたり、最後どうしても駆け込み的なイメージだったけれど、この辺りを追加して納得できるストーリーに仕上がっていて好感が持てた。

特にアリエルが地上、人間の世界へ憧れを抱く気持ちがより具体的に語られているので(なるほど…)と強く共感ができる。

エリックの生い立ちが実写版の方が複雑で人間味があり、なぜアリエルに惹かれたのかや、ただの恋愛だけじゃなく、そこにはしっかりとした人間(人魚)愛も結びついていて、歴代の王子様の中でエリック王子がもっと好きになった。

自由奔放なお姫様だったアリエルが、人間の世界に惹かれ興味を持ち、決定打がエリック王子への恋なんだけれど、
実写版では「海の世界から離れ、人間の世界で生きる」事の重大性や失うものの大きさを感じさせ、アリエルの葛藤も重たく伝わってくる姿に泣けてしまった。

特に苦労人(蟹)なのがセバスチャン。
頭カッチカチなトリトン王の側近だったセバスチャンが、アリエルを助けるために影のヒーローとなって海に陸にあんなにも小さな体でかけずり回ってる姿は本当に胸に迫るものがあった。

セバスチャンがアリエルを救うためにあんなに頑張ってそばにいたからこそ(1番近くで娘を見てきたセバスチャンの言葉があったからこそ)トリトン王もアリエルをエリックに託す選択ができたように思う。

ただ唯一、映画を見てて拭えない違和感がついて回ったんだけど、「多様性」を求めるあたり、この国の人種の中心は一体どこなんだろう…?という違和感がずーっと続いてしまった。
ストーリーの中で「カスピ海」「エジンバラ」(多分…出てきてた。もし間違っていたらごめんなさい)って言葉が出てきたので、王国とアリエルのいる海域は何となく分かったんだけど、それにしてもキャストの人種がバラバラで王国のお国柄?や雰囲気?や個性が見出せなくて、が見ててすごく不思議な感じだった。これは人魚側(海)でも強く感じた。
多様性って個性を殺してしまうんだなぁ…という、全く無関係な事をこの映画で学んだ。

アリエルとエリックも恋に恋をして…というよりも、人間と人魚の橋渡しとしてお互いをもっと理解したい(エリックは海を求め、アリエルは地上を求め)的なまとめ方だったのも大人っぽい作品に感じた。

大好きなパートオブユアワールドのシーンは本当に切なくて、アリエル役のハリーの声がとっても透き通っていて綺麗で可愛かった。
リトルマーメイドは後半、アリエルの声が聞けなくなるのがちょっと寂しく感じてしまうけれど、そこは上手に演出されていたように思う。
ハリーの声あってこそのアリエルだったし、人の姿になってエリックとデートするシーンのキュートさはとても良かった。

最後のトリトン王の決断と別れのシーンで頭が痛くなるほど泣いてしまったんだけど、次のコーラルムーンには(父と姉妹の集まりに)帰るよって言っていたので、そこまで深刻な別れではないのかな?と思えた。

全体的に、監督頑張ったなぁ……という感想が強く胸いっぱいに広がったので、作品というより監督の頑張りスタッフの頑張りが伺える映画だった。

他に見た人の感想が気になる所。
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