YohKitajima

リトル・マーメイドのYohKitajimaのレビュー・感想・評価

リトル・マーメイド(2023年製作の映画)
4.2
ミュージカルはかなり良い。ハリー・ベイリーの歌声は最高だし、”Under the Sea” に爬虫類と哺乳類も投入されたのは大変よろしい。亀が海底這いずり回ってるのとか楽しかったし、旧作の「人間が考えた、魚たちの陸ヘイトソング」みたいな厭さは薄れて、都会に出てく若者を引き止めるクソ田舎のノリ、くらいの塩梅になってたのも良い。アリエルが陸に上がった後のオリジナルソングも結構良かったなー。

てか全体的に、旧アニメ版の、あくまで人間が人間のために作ってる映画であるが故の鼻につく傲慢さが改善されて、人魚界or海洋生物界に寄り添った作りになっているのはかなり良かった。人魚が陸に上がって人間の生活に入っていくとこの描き方もステレオタイプ的にはなってなかったし、魚たちも、ウツボを「ヌメヌメ野郎」みたいな呼び方をしてて、海洋生物界の間でもそういう差別的なとこあるんだなと、気づきを得られた。結局最後足生やしちゃうのは、良いのか悪いのかあまりわからないが、二人で新たな海へ旅立っていく陸とも人魚界ともどちらにも寄らない結論は、俺は応援したい。

ヴィジュアルについては、若干不満があるな。海洋生物たちに対しては全く文句はない。その他の人魚たちについては、アースラの触手が怪しく光っていたのは良かったが、吸盤へのこだわりをあまり感じなかったのは残念。人魚の下腹部のヒレとの付け根のあたりにかなりこだわりを感じるのは大変良いが、それだけに、ハビエル・バルデムが全身武装のようなファッションであったのも非常に残念。あいつの腹も見せろ。

結局あのウツボはウツボってことで良かったんかな。放電してたから電気ウナギの可能性もあるけど。どっちともわからんまま爆散してしまった。悲しい。

もう一つ、欲を言うならば、アリエルの7人の姉妹たちはそれぞれ違う海域出身っていう設定があったんだからもっと活躍させてほしかったな。終盤のアリエルのピンチに、7つの海域の名を引っ提げた姉妹たちが見栄を切って登場する、みたいな出鱈目を見せて欲しかった。歌舞伎みたいな化粧したメリッサマカーシーがいるんだしさ。
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