キャサリン子

ブラック・スワンのキャサリン子のレビュー・感想・評価

ブラック・スワン(2010年製作の映画)
3.8
3大バレエのひとつ「白鳥の湖」。
潔白な白鳥と官能的な黒鳥の二役に抜擢された若きバレリーナが、プレッシャーにより徐々に精神を崩壊していく様を描いた作品。

「白鳥の湖」と言えば、古典中の古典。
バレリーナなら誰もが憧れる舞台。
その舞台で、オデットとオディールの一人二役を演じるとなれば重圧は相当なもの。周りは皆主役の座を狙うライバル。失敗は許されない。
そんなプレッシャーの中、振付師からは「君はオデットは完璧に踊れるがオディールは君には無理だ」と言われる。
バレエ一筋の、生真面目で遊びを知らないニナ。
王子を誘惑し魅了する妖艶なオディールを演じるには、ニナはまだ女としての色々な経験が少な過ぎた。本気の恋はしたことがなく、処女ではないがセックスも数回だけ。
一方、最大のライバルであるリリーは、オディールの化身かのような魅惑的な女性。女性として自分に無いものを持つ彼女が自分の代役に抜擢され、「役を奪われる」と焦るニナ。
不安と重圧と焦燥感で次第に精神のバランスを崩し、心身ともに蝕まれていく様は、まるでホラー。
ナタリー・ポートマンの体当たりの演技に目が離せませんでした。
観てるこっちも胃がキリキリしてくるくらい、追い詰められていく様子が見事です。


数年前に観に行った「白鳥の湖」もこの作品と同じようにオデットとオディールが一人二役だったのですが、同じ人が演じているとは思えないくらい表現が全く違いました。
オデットは可憐で清楚な白鳥、オディールは小悪魔的な魅力を持つ黒鳥。
繊細で優しい踊りと、色っぽくて艶があり女性としての強さも感じるような踊り。その対比が素晴らしく、この時に初めてバレエの凄さを知り、「白鳥の湖」のプリマは全てのバレリーナの憧れだというのがわかる気がしました。

その「白鳥の湖」の、夢にまで見た主役の座。実際に精神を病むバレリーナもいるんだろうな…と思いながら観ていました。
一流のバレリーナは、心臓にフサフサと毛が生えてるくらいじゃないと務まらないでしょうね。
特に、女の世界は恐ろしいですから(笑)


ラストは「え?」って感じでしたが、バレエの世界の美しさや厳しさ、そして恐ろしさをリアルに創り出した秀作だと思いました。
ただ、なぜ15禁なのかがわからない!
キャサリン子

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