幼少の頃から誰もが切望するプリマ。努力なら誰もがしてる。当たり前だ。ここはそれが普通の世界。「次こそは」と「私ではないかも」のギリギリの狭間で何とか前を向いて立ってる。
そんな中でヒロインは主役に抜擢された。あまりに自分とは間逆で悪魔のような黒鳥に。バレエとママとの生活しか知らない自分の人生経験で黒鳥を演じることが出来るのだろうか。いや演じるしかない。他に道はない。
才能溢れるライバル、病的に期待を背負わる母親、演出家からのプレッシャーで次第に彼女は病んでいく。
被害妄想、幻覚、どれが現実?分かっていることは唯一つ「私は必ず舞台を成功に導かなくてはいけない」果たして彼女は無事初日を迎えることが出来るのか?
フィナーレに向かって足し算で盛り上がるような、いわゆる王道の話とは逆の、徐々に堕ちていくタイプのストーリーではある。
ただサスペンス映画の本質が「観るものの心を不安にさせる、または翻弄する」だとすると、この上なく王道なサスペンス映画だと感じた。
特に効果的だったのはカメラワーク。ほぼ主人公か、主人公からの視点で構成されている。そしてランダムに繰り返される引きと臨場感のあり過ぎるアップで観客をドンドン翻弄してるいく。(まるで目隠しをされてジェットコースターに乗っているようだ)
本物のサスペンスが観たい人は必ず観た方がいい。