アツギ

婚約者の友人のアツギのネタバレレビュー・内容・結末

婚約者の友人(2016年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ジャケットの美しさとタイトルに惹かれて よく見たらフランソワ·オゾンだったので期待して鑑賞

第一世界対戦後のドイツから始まります。婚約者の両親と暮らし静かな日常を送り1人で淡々と墓地に向かい花を手向けるアンナ
モノクロの効果もあり とても静かで戦後の喪失感が滲み出ていて主人公のアンナは覇気がなく笑顔がない。
なげやりではないけれど婚約者の死に対して受け止めきれず ただただ戸惑っている様子がアンナの表情で伝わってくる。
婚約者の友人アドリアンが現れ話が展開してゆきますが二人の間に独特の空気が流れます。

アドリアンを見つめるアンナの表情が秀逸です。
「目は口ほどに物を言う」と言いますが人がある感情を抱いた時の瞳が…とても雄弁であまりにもまっすぐで そして澄んでいる。


戦争での犯罪を人はどこまで怒り、どこまで許すのか。 傷ついたからといって誰かを怒りをぶつけても その相手も傷ついている。相手も怒りを抱えているかもしれない。
「赦しを乞う」 その行為は傲慢なんだろうか…
考えてみても そう簡単には答えなどは出そうにはないです。
戦争がなければ…と戸惑い 踏み出せない二人がもどかしいけれど深く共感して悲しみに暮れてしまいました。

アンナを演じるパウラ·ベーアは本当に美人さんなんですが最初は表情が乏しく暗いのですが気持ちに変化があってからの瞳は輝きが現れ 髪には艶が出て佇まいが まあ美しい。
モノクロなのに変化がありありと分かってフランソワ・オゾン すごいっ!!と驚嘆です。


久々にフランソワ・オゾンの恋の切なくて苦しい世界を堪能いたしました。
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