かげ

婚約者の友人のかげのネタバレレビュー・内容・結末

婚約者の友人(2016年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

この映画のキスシーンは忘れないと思う。
その後のマネの絵を眺めるところまで含め、「危険なプロット」を超える素晴らしいエンディング。

戦争で婚約者を失った主人公のもとへやってくる敵国の若者。
彼の語る嘘(=独仏の友情物語)があまりに哀しい。
婚約者の友人の出現で婚約者の喪失から立ち直りかけていた主人公は再び絶望する。後、婚約者の友人が居るフランスに向かうも待ち受ける現実はあまりに残酷。
マネの「自殺」の絵がここに来て味を出している。
最後に婚約者の友人と別れ汽車に乗った主人公の女の姿があまりに美しい。先行きが不安になるような脆さがないように映った。

二度目ということで、テーマであった嘘が何たるかを知った上で見たため、婚約者の友人を演じるピエールニネの演技力の凄さがひしひしと伝わってくる。戦争で殺したことに加え嘘を語ることへの罪悪感も重なり、苦しむ姿をとても上手に演じている。

そして戦争物語としての要素だが敗戦国のドイツ人のフランス人への感情があまりに生々しい。
ドイツ人はビールで祝宴を、フランス人はワインで祝宴をあげる〜〜などのセリフが印象的だった。
また、そのような偏見をもたずフランス文学を愛する、ドイツ人の婚約者のセリフに重みがあった。

モノクロの繊細な絵にも引き込まれる素晴らしい映画。
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