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婚約者の友人のshortcutのレビュー・感想・評価

婚約者の友人(2016年製作の映画)
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フランソワ・オゾン監督といえば、個人的には、「まぼろし」が傑作だと思っており、これをなかなか超えられないでいるのだが、力のある監督作はどうしても見逃せない。監督は本作でもまた、女性なのでは?と思わせるほどその心理を見事に表現している。

人間とはいかにも身勝手な生き物である。
この作品は、これに尽きるのではないだろうか?戦死した婚約者を忘れたくないからと縁談を断っても、気になる人がすぐに現れたり、謝罪のつもりで訪れたのに、興味の対象がいれば思わせぶりな態度をとってみたり。どんなことがあろうとも、ある意味、それが人間の本質なのであると思う。人の心など移り変わり、常に揺れ動いていく。そうでなければ生きていけない。誠実なのか、不誠実なのか、本当なのか、嘘なのか…。それでも、突き進んで行こうとする女はやっぱり強いのである。

モノクロームの映像が美しく印象深いが、別れ際のキスシーンは秀逸で心と裏腹に残酷なくらい美しかった。
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