折光

冷たい熱帯魚の折光のネタバレレビュー・内容・結末

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

コロナだなんだで気が滅入り、最近は緩くて明るい作品ばかりを摂取してきた中でふと気まぐれでとんでもない作品を見てしまった。
気弱で、ガツガツした陽気なおっさんに嫌悪感と憧れを抱く自分としては非常に身につまされる映画だった。

暴力的で計画的で一見人間的魅力があるようで、でも実際は薄っぺらで倫理観とかはツッコミどころ満載の、パワー溢れる人間達に振り回され破滅していく主人公。
終盤で巨悪に一矢報い暴力性を手に入れるも、それは既に腐りきって崩れ落ちる寸前だった自分自身にトドメを刺す役回りしか果たさず、その壮絶な最期も唯一目撃した娘に何の意味も与えられず終わってしまう。
本当に救いのない映画だった。
このまま気弱人間のままズルズル生きていけば「自分もいつかこういう最期を迎えてしまうのでは? いや、女性をプラネタリウムに誘ったり自営業を営んだりするほどの勇気や行動力もない自分はそれ以下なのでは?」という恐怖をおぼえた。
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