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冷たい熱帯魚のaのネタバレレビュー・内容・結末

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

かなりグロいと聞いていたから身構えていたけれど あそこまで人間を解体してしまえばそんなにグロくない。村田は殺人鬼(という言葉選びは違う気がするけど)としては珍しいタイプのキャラクター。表では明るい経営者、裏では殺人犯なんだけど村田的にはたぶんどっちも表で。
初めのシーン、妙子がスーパーでどんどん食品を購入して食卓が全て冷凍食品というシーンでちょっと嫌な感じがしたけどそんなの序の口だったんですね。社本は何故文句を言わないんだろう、と思っていたけど元妻が死んですぐに妙子と結婚したことに引け目を感じていて、でも娘を愛している気持ちもあるから妙子に煙草も辞めさせたし娘と折り合いの悪い妙子に文句も言えない。中途半端、煮え切れない中で揺らいでいる。
そんな中で不幸にも村田に出会ってしまって勝手に共犯者にまでさせられてしまって これまで平凡な人生を送ってきた社本の中の何かが弾けてしまった。妻も娘も愛しているのに悪徳経営者に良いように使われるつまらない自分。村田に挑発されて殴るシーン、めっちゃスッキリしますね。いけいけ!ってなる。社本は今まであんな風に人を殴ったことなんてなかっただろうなあ。村田を殺した後の愛に飢えた精神的におかしい女 愛子も良かった。嘘でもなんでもいいから社本が自分を必要としてくれそうだと分かった瞬間、夫をも解体する。狂気。その点、序盤に妙子も村田からの平手打ちを受けながら「ありがとうございます」と連呼するけど、それも愛に飢えていたからなんだね。愛に飢えた女はどこまでもいけるね。でも社本が妻子を愛していたのにも、妙子が社本を愛していたのにも、村田夫妻が愛し合っていたのにも偽りは無いと思う。美津子だって父親のことが本当は好きだったはず。
村田の共犯者になって村田と愛子を殺してしまった以上もう元には戻れない。今まで勇気を出すことなんてあまりなかったであろう社本の人生、最後に勇気を出して愛する妻を殺した。娘を殺さなかったのは娘が家族を良く思ってなかったことには気付いていたから。これもまた愛するが故の選択。
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