沖縄県読谷村、やちむんの里。ここには百を超える窯元が集まり、 焼き物作りがさかんな地区である。四人の親方たちで営なまれる共同窯「北窯」。 「北窯」の親方の一人、松田米司工房では使うための器たち、伝統工芸品が今日も作られている。 故郷である沖縄の土で粘土を作り、自分たちの登り窯で焼き上げる。 そのあり方はかつての風景と変わらない。 とは言え、多くの問題もある。途絶えた伝統技術の復活、そして地元の白土が入手困難になりつつある。 米司親方は資材調達のために国の内外問わず探し回り、今日はベトナムへ向かう。 それは伝統を継承するためでもあり、次世代への新しい伝統工芸の模範にもなっていく。 ベトナムの新しい土で焼き上げたやちむんたち。それは伝統になるのか? 戦争で失われた島の伝統、毎年やってくる激しい台風、近くにある米軍基地。 そんなことは「なんてことない」という強さを持った琉球人たちを映画は目撃する。
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