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シネマ歌舞伎 歌舞伎NEXT 阿弖流為〈アテルイ〉のKUBOのレビュー・感想・評価

4.5
これは見応えがありました。歌舞伎だけど劇団☆新感線の作品。3時間越えの大作で、大河ドラマを見たような感じでした。

なんかルフィみたいな坂上田村麻呂(中村勘九郎)、蝦夷の長アテルイ(市川染五郎)、アラハバキの巫女立烏帽子(中村七之助)と歌舞伎スター揃い踏み。

アテルイが「アラハバキの神の使い(森の神獣?)を殺して呪われた」っていうあたり『もののけ姫』っぽい。

ベースは坂上田村麻呂が蝦夷を平定する話なんだけど、そこに朝廷内での勢力争い、帝の巫女VSアラハバキ、そして坂上田村麻呂とアテルイの対決〜ライバル〜友情と、バンバン膨らませて壮大な時代ファンタジーに。

普段は歌舞伎なんてあんまり見ないんだけど、勘九郎・染五郎の迫力は素晴らしかったし、七之助も男とは思えぬ綺麗さだった。

普通の演劇のように激しいアクションの途中で、ピタッと止まって見栄を切ったり、歌舞伎風アレンジがすごい印象的だったりする。若手の歌舞伎役者さんたちも、古典より演ってて楽しいんじゃないかな?

国と国との戦いながら、ひとつの国を打ち負かすということは、ひとつの神を殺すことだという考えには「確かにな〜」と考えさせられた。そうやって日本の原風景は消えていってしまったのだ。

カッコいい3人の他に、ともかく印象に残ったのは「熊子」! なんだあれは?(^^)

さらに、最も姑息なキャラ「バンコウ」が、最後まで鍵を握るところもおもしろかった。

たまにはシネマで歌舞伎もいいもんですね。



*帝(天皇)は最後まで姿は現さないけど、「万世一系」と言っておきながら、しれ〜っと「(坂上家は)帝と同じ高麗からの渡来人の血筋」なんて台詞が出てくる。大丈夫か? 右翼さんに怒られないか?
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