デパルマ

バリー・リンドンのデパルマのレビュー・感想・評価

バリー・リンドン(1975年製作の映画)
3.0
ロウソクの灯だけで撮影したすっごい重厚な宮廷歴史映画の先入観があったけど、百姓のレドモンド・バリーは如何にして農業するのを止めてバリー・リンドンの暮しと称号を我がものとするようになったか、を描いたピカレスクロマンだった。緊張感のない男がホラを吹いて世渡りしようとするのは「トム・ジョーンズの華麗な冒険」、運良く物事が運んで歴史の重大な局面に偶然居合わせる感じは「フォレスト・ガンプ」や「小さな巨人」のノリだ。ということは、田舎の片脚ホラ吹き親父が実は若い頃は愛のために故郷を捨て、戦争の英雄になり、やがて貴族にまで成り上がった自慢話(ホラ話)を描いた原作小説の一人称語りをナレーションに替え、ヴィスコンティばりの重厚さとスケール、そして徹底したリアリズムで無理矢理にシリアスな文芸映画に仕立てたジョークのような映画だったのかしらん。行きて帰りし的なプロットは「2001年宇宙の旅」、モラハラ親父に息子が殺されれかけるのには次作「シャイニング」の面影を感じる。
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