似太郎

バリー・リンドンの似太郎のレビュー・感想・評価

バリー・リンドン(1975年製作の映画)
4.6
【本来笑うべきシーンではないのに】

中世イギリスを舞台にした歴史絵巻なんだが、所々笑ってしまうシーンが多々あって「これってわざと?」みたいな雰囲気が強い。キューブリックらしい【企み】を感じさせる珍妙な作品である。ファック・ユ〜!🖕

どう考えてもウケ狙い的なシーンをなぜか生真面目に演出してるから余計に爆笑を誘う。😙クスクス
主人公を含め、出てくるキャラクターが全員プライドとエゴの塊みたいですご〜く気持ち悪い。

だいたい、戦闘シーンで死ぬの分かってて玉砕していってバタバタ倒れるのを徹頭徹尾【アホ】として描いていから観ている側はものすご〜く痛快である。勝手に死んでろ!と言いたくなる。ヒューマニズムで美化した感じが一切無く無機質なタッチが特徴。平和だなぁ…。

アイルランドの田舎者の出世物語を虚無的、或いはブラック・ジョークっぽく綴った深沢七郎的な世界観。所謂『アラビアのロレンス』や『ガンジー』や『エリザベス』みたいなヒロイックな英雄モノとは真逆のアプローチで、人間のドス黒い欲望の世界を抉ったアンチ歴史映画の快作。
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