学生運動が盛んなパリ。急進派の学生たちがデモを続ける中、哲学教師のナタリーは今日も教壇に立つ。夫と、すでに大きくなった2人の子ども、そして独り暮らしをしているうつ状態の母親。デモのせいでままならない授業や母親に振り回され、自身の出版物も滞るなど、問題を抱えながらも慌ただしい日々を過ごしていた。しかし、ある日を境にナタリーを取り巻いていた人間関係が突然堰を切ったように変化していく…
自分が望んで手にした自由ではなく、流されるままにしていたらいつのまにか自由になっていたという、とっても受け身な物語。いかにもフランス映画といった感じで淡々と話が進んでいく。主人公が基本的に自立できている人間なので、何が起きてもそれほどジメジメしていないところが良い。
同時進行で見ている『アスファルト』といいこの作品といい、イザベル・ユペールは独りでも平気だけどたまにポッキリ折れる繊細なキャラクターがよく似合う。
フランス映画は街角や自然の風景、インテリアやファッションが美しいので、それだけでも見ていて楽しい。