はぎはら

未来よ こんにちはのはぎはらのレビュー・感想・評価

未来よ こんにちは(2016年製作の映画)
4.0
「死ぬまで一緒にいると思っていた」。
好きな人ができたと夫から告げられた時に主人公のナタリーが口にする言葉だ。
人生の土台だと思っていた夫との関係が突然途切れた時、普通なら夫の不実を責めたり、夫を振り向かせようとするのだろうが、彼女はひとりであることを選ぶ。その潔さが心に残る。

夫と別れ、母を亡くし、子供たちは独立して家を出る。彼女は、1匹の黒猫との生活を始める。孤独であることを受け入れる時、彼女は自分を束縛するものから自由になる。

孤独と引き換えに自由を獲得する感覚は、私たちには馴染みの薄いもので、簡単には身につけられないが、とても大切な感覚だと思う。

それにしても、イザベル・ユペールの歩く姿勢が、とても美しい。
去年の「アスファルト」もそうだったが、自分を信じて前を向くイザベル・ユペールを観ているだけで、いまを生きていくことに光があたる。素晴らしい女優だと思う。
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