ヒッポリタ

未来よ こんにちはのヒッポリタのレビュー・感想・評価

未来よ こんにちは(2016年製作の映画)
4.2
母の期待のままに学位を取り哲学の教師となった女性。
歳を重ねるうちに夫はいつの間にか心が離れていた事実を突然に突きつけられ、介護をして来た母もこの世を去り… まるで人生の整理整頓が一度期にきてしまったかのような状況に主人公は戸惑いながら、時にはむせび泣きながら、しかし淡々と生きて行く。
今まで期待に応えようとしてきた対象である母という軸を無くした時、自分自身とは?と考えさせられるものなのだろう。
しかし、常に哲学を持ち思考しながら前を向く主人公に悲壮感はない。
何かに依存したりすることもない姿勢が良い。

ラスト、アンチェインド・メロディーが流れる中、その抱きしめる愛おしいもののずっしりとした重さ暖かさを感じ、少し涙が出た。

イザベルユペールの美しさと、フランスの風景。整理された本棚にテーブルに花束のある家。上質な時間を味わえる映画だ。