ラッキーマウンテン

メットガラ ドレスをまとった美術館のラッキーマウンテンのレビュー・感想・評価

4.2
美しい服が沢山出てくるってだけでも見る価値はあるが、ドキュメンタリー映画として十分見応えのある作品になっている。
マックイーンの死を嘆くというやや感傷的な導入から始まり、それをひとつの基準として終わりまで保っていたのはわかりやすくて良い。

話のメインとなるアンドリューのビジュアルは正直星5に等しいものがありましたね。はい。
渡仏したときとメットガラ初日に穿いてたくるぶしが見えるスラックス最高でしたね、はい。
しかし◯◯◯◯◯◯の彼氏とは…素晴らしいですね、幸せになってほしいですね、はい。

題材だった「鏡の中の中国」については、欧米人とアジア人の中国・アジア文化に対する認識の差が大きくて非常に面白かった。
例えば毛沢東なんてモチーフが取扱注意というのはアンドリューも理解してるんだけど、ちょっと認識が甘い。
よりにもよってアレと混ぜようとするとは…。どう考えても爆発物にしかならないだろ!大胆すぎる。
また、過去の中国ばかりがピックアップされてるけど今現在も見てよ!という中国側の言い分も、スシテンプラスモウニンジャの日本人にはなんとなく共感できる部分があるものの、古典的な中国に魅せられてる彼らには味気ないお小言になってしまう。
しかしながら、美術監督として引っ張ってきたウォン・カーウァイが見事なバランス感覚でその溝を埋めていく。
中国というテーマで成立させることに関しては確実にアナ・ウィンターより仕事してたと思う。

あとはどうでもいいけど、リアーナのセルフプロデュース力は圧巻だったね。
眉目秀麗セレブがゴロゴロいる中でも「この世の誰より私が美しい」みたいな目つきをしているリアーナが段違いのオーラを発していた。あれがカリスマってやつなんだな…。
対してジャスティンビーバーはただのDQNでしたね。同じスターダムの人間でもプロ意識の差が如実に出てて面白い。
あとゴルチエだったかな、若い女性と手を繋いで「これは◯◯の??年の作品」と説明しながら美術館を回ってるの、なんか微笑ましくて良かった。

個人的にはかなり楽しめたからあと30分くらい長くても良かった。
ファッションの部分が目立つから女性の観客が多いんだろうけど、本質はプロジェクトX(古い…)だから男性にも見てほしい1本。
とりあえずアンドリューのくるぶし見せスラックスは男も女も真似しといて損はないぞ!おわり