あらすじ
11歳の内気な少年マーティ。彼は兄スティーブのある恐ろしい秘密を知っていた。兄の部屋のクローゼットの中には生首が隠してあるのだ。自分の兄は恐ろしい殺人鬼なのか?いつも自分を守ってくれるスティーブに対する憧れと恐怖の狭間で弟の鬱屈は続く。やがて事態は取り返しのつかない状況へと進展していく。
秘密は誰かしら持ってる。だがその秘密が殺人だったら?ありがちかもしれないがこういう設定は興味を引き立てられる。兄弟愛、いじめ、人種差別、様々な要素を描いている。また一貫して弟の視点からにする事で普段の優しい兄への尊敬の念とシリアルキラーの兄に対する畏怖の念の間で揺れる葛藤がよく描かれていたと思う。兄に影響されて気弱だった弟が次第に暴力的になっていくのが恐ろしかった。前半は冗長なシーンが目立ち退屈だが後半で物語が動き出してからは目が離せなくなる。
また生首のシーンは出てくるが兄が殺害するシーンが出てこないというのが気になった。しかしあえて見せない手法を取ったのは監督の狙いがあったように思う。それが特に顕著に出てるのがクライマックスの殺害シーンだ。あえて殺害の映像を見せずあるのは弟の苦悶の表情と行為の音だけ。そのせいで想像力を掻き立てられ恐怖に煽られる。素晴らしい演出だと思う。そして衝撃のラストシーンに唖然。監督の頭の中を覗いてみたくなる。
惜しい点は終始弟の視点なので兄が何故ここまで狂気に走ったのか最後まで理由がはっきりしない事。あえてそう作ったのだろうが個人的には惜しく感じてしまう。
制作費8000ドルでここまでのクオリティの映画を作れたのは驚き。若干B級っぽさはあるがなかなか面白かった。