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透明人間のRのネタバレレビュー・内容・結末

透明人間(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2020年のアメリカの作品。

監督は「アップグレード」のリー・ワネル。

あらすじ

恋人のエイドリアン(オリヴァー・ジャクソン=コーエン「レッド・エージェント 愛の亡命」)の束縛に苦しめられてきたセシリア(エリザベス・モス「アス」)はある夜、セキュリティが張り巡らされた彼の家から逃げ出す。それから、2週間後エイドリアンは手首を切って自殺し、ようやく怯えた生活から解放されたかに見えたが、セシリアの周辺でその頃から不審な現象が相次ぐ。

劇場では観たかったんだけど観れなくて、でも愛聴するTBSラジオ「アトロク」のシネマランキングで宇多丸がランクインさせていたので(何位かはお楽しみ!)、こりゃ観なきゃと思い鑑賞。

「透明人間」といえば、誰もが思い浮かぶのがポール・ヴァーホーヴェンでケヴィン・ベーコン主演作の「インビジブル」だと思うんだけど、あちらはあちらで超面白い、「人が透明人間になったらどれだけ人格が破綻するか」を描いた秀逸なサバイバルホラーだったけど、今作はよりホラーに重点を置いて描いている。

まず、冒頭、恋人エイドリアンの家からセシリアが逃げ出すシーンがあるんだけど、ここでの圧倒的な緊迫感といったら!!

ガラス張りの家なので、睡眠薬を飲ませたとはいえ、いつガバッと起きるかわからない状況下の中で多分用意周到で逃げ出すセシリア。寝巻きから着替えるシーンに急にカメラがパンするもんで、もうすでにエイドリアンが起き出してこちらに向かっているのではないかとビクビクしちゃったよ💦

その後もなんとか逃げ出したものの、迎えに来てもらうはずの妹が来ないで、真っ暗な森の中を無防備で立ち尽くさなければならない状況下にまたハラハラ。ようやく来たー!と思って車乗ったらエイドリアンすごい勢いできたー!なところまで序盤の掴みからスリリング過ぎる💦

そっから、遂に透明人間が登場するんだけど、インビジブルのケヴィン・ベーコンとはまた異なる透明人間像はとにかく卑劣!

姿が見えないことを逆手にとり、直接危害を加えるのではなく、周囲の人間に被害を与えてセシリアのせいにする周到さ。

そして、時に携帯のSMで、ときに耳元に囁くように「サプラ〜イズ」。そして、そこに残されるのは絶望に打ちひしがれるセシリア。うわぁ、陰険…。

そんな嫌がらせだけでなく、セシリアが台所を去った後、包丁が落ちてフライパンの火力が強まったり、夜に突然目が覚めて落ちた毛布を拾おうとしたら毛布が誰かが乗っているようで取れなかったりと透明人間だからこそできる演出が光る。

ただ、最も怖かったのは「何も起きてない場面」。何も起こらず、ただその空間を映し出すだけで怖い。何かがこっちをじぃーと見ているようで、これぞ「見る見られる関係の逆転」、映画だからこそ成せる恐怖。

それでもジャンル映画だからとタカを括っていると予想の斜め上をいく予想外の結末。なるほど、全知全能の神「ゼウス」を引き連れて、今度はセシリアが力を手にするのか!!

他にも全身反射カメラのギミック搭載の最新鋭設備を搭載した今だからこその透明人間ルック然り、終盤の畳み掛けるようなアクション然り語りたいところ盛り沢山のジャンル映画の枠組みを超えた古典映画の進化系。傑作だと思います!

今年も残すところあと少しとなりました。

大変な一年になりました。映画が観れない時期も続きました。それでも、また来年も生きて、元気に良い映画が観れる年でありますように✨
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