このレビューはネタバレを含みます
世の女性が社会の中で、どんな見えない敵と戦ってるのか描いたメタファー映画。
古びた古典を超現代的にアップデートし、娯楽映画としても、社会問題映画としても秀逸な時代を代表する作品となった。
ヒロインを襲うのは、男尊女卑の塊のような男のDVと性暴力。精神的にも肉体的にもレイプされまくる恐怖と嫌悪。レイプされても誰にも信用されないという屈辱と抑圧、無理解を男性にも理解させる恐ろしい物語展開が繰り広げられる。
身に覚えのない罪まで知らない内に着せられるネット社会ならではの現代的な恐怖と、軍事的にいつか現実になりそうなリアリティも加味して、前半は目眩がするほど恐怖映画としてよく出来ている。
これはトランプ大統領がレイプ疑惑で糾弾され、訴えられている今この時代だからこそ作られたのだろう。真偽そのものよりも、これまでの時代が犯した罪への女性達の怒りの代弁である。
しかし後半、胎内までレイプされてたことについて知り、ついに彼女が覚醒してからは物語は反転し時代への逆襲が始まる。余談だが精神病院のシーンでは明らかにターミネーター2のサラ・コナーにオマージュをこっそり捧げている。確かにT1000もある意味では透明人間みたいなものだった。
女性が覚醒した時に辿り着く結論。
それは男性的には恐怖そのもの。
ラストは解釈を実は観客に委ねている。
本当の犯人は彼だったのか?
もしかしたら違うかもしれない。
彼女は間違ってるかもしれない。
しかし、そんなことは関係ないのだ。
男と女の因果関係の行く末は苦くてグレーだ。
彼女は、お腹の子をどうするか?
その結論は、トランプ時代への挑戦と考えれば自ずと結論は見えるだろう。