Jonayama

透明人間のJonayamaのレビュー・感想・評価

透明人間(2019年製作の映画)
4.8
3作目までの『SAW』シリーズや『インシディアス』シリーズ等直接的なグロに頼りすぎない(『SAW3』あたりはヤバいか笑)ホラー映画の脚本を手掛け、近年は監督までやっちゃうリー・ワネルが手がける古典ホラーのリメイク作品。

心身ともに支配しようとする恐ろしい交際相手からなんとか逃げ出した女性がしばらくして彼が失意の果てに自ら命を絶ったとの報を受ける。
ホッとしたのも束の間、彼女は怪しい視線、そして居るはずのない者の気配を感じるようになる…


『アップグレード』も素晴らしかったが今回もすごい!
主人公の妄想なのか本当に見えない何かがいるのか曖昧なまま静寂と時折のジャンプスケアの切り返しで焦らしまくり、中盤以降から始まる息もつかせぬ怒涛の展開へ流れ込む様は見事。

素は美人なのにくたびれきったおばさん感を表現するのがうますぎるエリザベス・モスの狂気に取り憑かれたような"イっちゃってる"表情と絶妙な"間"そして思わせぶりなカメラワークを駆使した演出にグイグイ引き込まれてこっちまで神経を擦り減らしながら恐怖を堪能した。

そして近年活躍目覚ましいベンジャミン・ウォルフィッシュが手がけるダイナミックレンジの非常に広いサントラも素晴らしい。
パニックシーンで鳴るインダストリアルミュージックかよってくらいけたたましく響く攻撃的なシンセ音がたまりませんな。ハンス・ジマー一派でも特に凶悪なスコアを書く方だ。
重低音が強調された一部のシーンではウチのテレビのウーハーが唸りをあげてました(笑)

事が解決してもモヤっとした気持ちを抱かせてたまま流れるエンドロールも含めて近年稀に見る良質なホラー映画だったと感じた。
比較的ベタな題材を用いてここまで恐ろしく引き込まれる作品を作るとは…リー・ワネルさんお見それしました!
Jonayama

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