うべどうろ

T2 トレインスポッティングのうべどうろのレビュー・感想・評価

T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)
2.7
 20年後、中年になり果てた彼らの物語。うーん…。なんともいえない、つまらなさ。まだ前作は90分台と短い尺だったので見切ることが可能だったが、こっちの作品は120分近くもあって、辟易とする。垂れ流される「虚無」の呼吸は、前作にあったようなドラッグへの執着もなくなり、文字通り虚空な現実をとにかく彷徨い歩くさまは、観ていて極めて痛々しいものだった。

 ここで一つの疑問があった。ダニー・ボイルは彼らの姿を、「結局堕落した、成功のチャンスを逃した人」として描きたかったのか、あるいは「育つ場所が全てを決める」的な運命論を語りたかったのだろうか。もし後者ならむなしすぎはしないか?でも、結局だれも成功できずに死んでいくという終わりを、描き方を選んだのは、薬への批判からだけではないような…。

 そして、さらに哀しかったのは、「音楽と映像が新しくなっている」という前作の台詞そのままの事態を、この作品が見事に具現化してしまっていることだった。とりあえず使ってみた、というようなスマホの映像はあまりに「中年的」な視点で切り取られた技術でもなんでもないアイコンとしての役割しかもたず、その拒絶が、音楽との調和すら拒み、前作にあったような高揚感はついに一度も感じなかった。
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