黎豚教授

インディ・ジョーンズと運命のダイヤルの黎豚教授のネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

公開初日、吹替で鑑賞。

最終的に藤子不二雄アニメみたいになっちゃったなw

すごく面白かったですが、大絶賛!というほどではない。が、しかし、監督は違えど、流石スピルバーグが関わってるだけある。

中弛みというか、終盤まで緊張感は保っているのに尻窄み感が否めない。あと30分短くして同じエンディング、または、あと30分延ばしてユルゲンが希望した年代か古代ローマよりも現代に近い年代に飛んでもう一悶着あっても良かったのかなと。

兎に角、過去に行くまでは本当によく出来た作品。
これからもっと面白くなるぞ、最後にどんな展開が待ってるんだ、と期待させておいて、期待を大きく下回る展開で作品は幕を閉じてしまった。

この作品がなければ村井インディは帰ってこず、4の村井版は一生作られなかったわけであるから、感謝はしている。しかし、インディアナの非凡な活躍を観てきた私達にとって、凡人と同じような妙にリアルな一般人的な老後を迎えているインディアナは正直観たくなかった。前作までの威厳のある教授のままでも、タイムスリップ以降の脚本を変えれば運命のダイヤルを用いた作品としては成り立つはずである。というよりも、本作の結末にしたいがために、具体的にはマリオンとの再会や過去に留まりたいと訴える理由のためだけに凡人老後にするという選択を行ったのではないかと勘繰ってしまう。スピルバーグが監督を降りた理由がここにあるのではないかと考える。ザック・スナイダー版ジャスティス・リーグのように、スピルバーグ版運命のダイヤルを観てみたいものである。で、その際には、ハリー・ポッターシリーズのような「と」表記から、インディ・ジョーンズ/運命のダイヤルという4までのタイトルに合わせた「と」を削除した題名に改題していただきたい。日本版タイトルを考えた人間のセンスのなさと作品への愛情のなさに憤りを感じる。が、もしかすると、スピルバーグが監督ではないことと、本作の出来栄えに納得しない者がスピルバーグ監督作品との差別化を狙い、敢えてダサい「と」表記の題名にしたのかもしれない。

マッツ・ミケルセンは流石のビジュアルで教授としても、ナチス側の人間としても非常にピッタリな配役であった。退場の仕方やタイムスリップ後の威厳のない立ち居振舞いが残念過ぎて勿体無かった。井上和彦氏の吹替はまぁ及第点。叶わない夢ではあるが、中田和宏氏が現役であればと願わずにはいられない。

あとは、冒頭の若インディが電車間を飛び移る姿を俯瞰して撮影した場面があるのだが、明らかに人間ではないCGの動きになっており、非常に萎えた。ハリー・ポッターと炎のゴブレットの水中のキャラの動きみたいなカクカクした動きで明らかに変だった。自宅のTVで観れば気付かないかもしれないが、流石に劇場の画面では恥ずかしいくらいのクオリティの低さで非常に残念。打って変わって、若インディのハリソンの若返りCGは全く違和感なく、SWのピーター・カッシングや若キャリー・フィッシャーの蘇りとは比べ物にならない程ハイクオリティであった。どちらかといえばマッツミケルセンの若返りの方が違和感があり、X-MENファイナルディシジョンを彷彿とさせられた。

しかし、不満は上記くらい。

他の方のレビューを拝見すると、若インディパートの評判が悪いが私的には非常に楽しめた。いい意味で予想よりも長く、見応えがあり、なんなら若インディでもう1作作って欲しいくらいワクワクが止まらなかった。トビー・ジョーンズもいつの間にか出演していれば嬉しい俳優に育ち、納谷六朗氏がご存命なら吹き替えてくれていただろうなと想像。今回は、X-MEN:フューチャー&パストでピーター・ディンクレイジ演じるトラスクを当てた佐々木睦氏が起用されており、六郎氏亡き後、最善のキャスティングであった。

今作の最大の売りといえる村井國夫氏の復活。
金曜ロードのクリスタルスカルを待たずに本作を観たため、多少声質の変化などを不安視していたが杞憂であった。今回の村井ハリソンをきっかけに過去作や最新作での村井國夫の起用が増えることを願いたい。

また、戸田恵子の出演は嬉しいサプライズであり、TVでの統一感を考えると、クリスタル・スカルのカレン・アレンも是非お願いしたいところ。クリスタル・スカル再ソフト化の際には金ロー村井・土井版に加え、村井・戸田版としてマリオンの吹替の差し替えを願いたい。そして、欲を言えば、その際にケイト・ブランシェットをFIXの塩田朋子に差し替えてもらえれば何も言うことはない。そしてそして、運命のダイヤルのソフト化の際には土井美加や内田直哉も個別で選べる仕様になればどのバージョンのファンも幸せになれるのに。と、妄想するw

今回の村井インディの復活は本当に奇跡的な出来事であり、この時代に自身が存在できており幸せである。

まだまだ吹替の話をするが、サラー役の宝亀克寿氏は大御所声優が軒並み他界なさった後であり、現状での最善のキャスティングといえる。欲を言えば、あと数年早ければ飯塚昭三氏をキャスティングできたのではないかと悔やまれるが、そうなると今度は村井國夫氏がタイミング的に起用されなかった可能性もあり、全てが思い通りにはいかないものだ。

大御所といえば、本作では大塚明夫氏が久しぶりにアントニオ・バンデラスを吹き替えており、楽しみにしていたのだが、やや期待はずれであった。バンデラスの役どころに合わせているのであろうが、いつものイケメンボイスではなく、ただのモブキャラ漁師の濁声になっていた。お父さんである周夫さんの声に似せているわけでもなく、只々イケてないおじさんの声になっており非常に残念。大枚叩いて大塚明夫氏を起用した意味がない。近年の吹き替えに多い大金を使って声優に合わない役者を充てがうという非常に勿体無いキャスティングとなっている。

good jobだったのは、中村悠一氏。クレバー役のボイド・ホルブルックという俳優自体は微妙だったが、中村氏の吹替によりキャラが立ち、本来の吹替の仕事を成し遂げていると言える。

時間が経過するにつれ、やや不満の方が上回ってきたが、スコアはファーストインプレッションを大切にし、高めのままとする。

繰り返し観たい作品ではないが面白い作品には仕上がっている。
黎豚教授

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