1作目。
“将棋”でしか生きられない不器用な男。
自分の家族に降り注ぐ不幸により、別の家族に拾われ“将棋”を知り、その道に自分の場所を探す。
しかし、その世界もやはり甘くなく、色んなモノを背負った猛者たちが集う勝負の世界。
自分の命を削るような頭と体で全身全霊で盤に向かうやりとりと、自分に背負ったモノと孤独と向き合いながら。
人間、なかなか“選べない”こと、状況は多々ある。
“残された選択肢”で進むしかないこともあるし、選べずに立ち止まったり、とりあえず棚上げしたり、迷うこともある、無理くり選んで間違うこともある。
それが人生であって、良くも悪くも紆余曲折はある。
そんな時、自分で何とかしないといけない局面もあれば、実は意外と色んな人に支えられてることもあって。
それに気付けること、一瞬でも逡巡して立ち止まれること。
対局する相手にも同じコトが起きていて。
将棋を挿すことが、単なる勝負を分かつ競技ではなく、それまでの自分の道のりで全身全霊で向き合いそれが垣間見れる鏡のような。
そんな紙一重の積み重ねの“将棋”と、彼と彼と向き合う棋士や周りの人たちのせめぎ合いと、優しさそれぞれが滲み出る良い作品だと思う。
神木隆之介はもちろん、染谷将太、佐々木蔵之介、高橋一生、倉科カナ、清原果那、彼らに支えられながら共に向き合い、切磋琢磨する姿。
伊藤英明、加瀬亮、それらを容赦なく薙ぎ倒してくる強く立ちはだかる壁。
個人的にはこの高橋一生、めちゃ好き。
こんな先生いて欲しかったし、こんな先生ならなりたい。そう思える良い関係。
将棋も人生も浮き沈みがあり、うまくいかないことの方が多いとしても、一瞬の閃きにしろ、長年の積み重ねにしろ、何かが変わることもある。
それを大切にしているこの神木隆之介に何か憧れる。そして、そこを信じる周りとの関係がとても素敵な作品。
前田吟、『男はつらいよ』を追いかけている身としては何か感慨深い。
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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
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