Tig

暗黒街のTigのレビュー・感想・評価

暗黒街(2015年製作の映画)
4.3
ステファノ・ソッリマの描くイタリアの徹底した腐敗模様が今まで観てきたノワールの「お約束」を凌駕する(主に下品さ)出来で新鮮でした。ベルルスコーニ退陣までの一週間という時間軸で繰り広げられる人間の一番粗野で根源的な欲求を体現したような面々によるオスティアを舞台にした群像劇。刺激が強いシーン満載で特に薬物やセックスの描写のリアリズムは秀逸なんですが、同時に醜悪なので免疫ないと引く人多そうです。
M83のMidnight cityが冒頭のシーンからかかっていたので、なんて俺得な映画なんだと思ってたんですが、その後もM83祭りで至るところで流れてました…笑
M83は好きですし、劇中の凄惨なシーンとのコントラスト、感情の機微を表現するという意味で勿論有用なんですが、ちょっとお腹いっぱいでした笑
誰か一人という訳でなく(もちろん軸になる人物はいますが)登場するキャラクターそれぞれの抱えているもの(家族やバックボーン)を限られた尺の中で見事に描いており、それ故に物語が進行する度に劇中の人物への関心が加速度的に増していき、また例外なく全員が困難に巻き込まれていく&足を突っ込んでいく事から、各シークエンスで起こる出来事に目が離せなくなる映画でした。
ボーダーラインソルジャーズデイの監督に抜擢されたのも納得。
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