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ローマ法王になる日までのyukacafeのレビュー・感想・評価

ローマ法王になる日まで(2015年製作の映画)
3.8
現ローマ法王が初の南米出身者だというくらいしか前知識のない状態で鑑賞。法王になるまでの道のりやその人となりがわかるような、静かで穏やかなストーリーを想像していたが、思いのほか深いところまでえぐられる内容に衝撃を受けた。

物語の中心はあくまでも法王ではあるが、アルゼンチンの独裁軍事政権時代の壮絶な出来事にかなり多くの時間を割き、ディテールまで描写されている。この史実がたった40数年前のことだというのも信じ難く、あまりに凄惨で思わず目を覆いたくなるような場面もたくさんあったが、このような経験を経て現法王が誕生したのだということがわかる、意義深い描写だった。同監督作の「我らの生活」でも、主人公の家族を中心に描きつつ、不法移民の問題にかなり深く切り込んでいたので、この監督が得意とする手法なのかもしれない。

独裁政権後に赴任したドイツの教会でのエピソードは、その後法王となることに説得力を持たせる印象深いシーンで、ここからよりはっきりと目的意識を持つようになっていく様子を演じ切ったロドリゴ・デ・ラ・セルナが素晴らしかった。長年観たいと思いつつ、後回しになっていた「モーターサイクル・ダイアリーズ」も是非観てみたい。
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