ひだり

オールド・ジョイのひだりのネタバレレビュー・内容・結末

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

最高だなこの映画。(マイナスイオンってスクリーンから漏れ出てくるものなの?)

旧友と行くキャンプ。
歳を重ねて身につけた謙遜や、互いの人生を尊重し合うことに隔たりを感じて戸惑ったり。
セリフの無さが伝える二人の空気感。

ゴーストタウンのような寂れた町を抜けたあたりからOLDとJOYという単語が次第に形を帯びてきた。
奔放なカートが子どもらしく見える瞬間がある一方、家族を持つマークはどこか不安を抱えてるように見えもする。
街で友達と再会した煌びやかな夜の話をするカートがjoyと言った(ように聞こえた)けど、マークは苦々しげに相槌を打つ。涙のように落ちる雫の宇宙の空論も彼には響かない。

やっとたどり着いた温泉でのカートの話が抜群に面白かった。
自転車で追い抜いた男性との些細なトラブルにひどく気に病んで、無意識に発した嘆きをレジの女性に聞き留められる。彼女とは夢で会っていて「悲しみは使い古された喜び」と慰められる。(ここでOLD JOY!!)
夜の街にくりだした彼は彼女を探していたんだろうか。

ドライブインの外、妻との電話ではあまり信用できないんだがと言っときながら、席に戻ると信じるよと微笑むマーク。森の湯船でもカートに身を委ねて脱力。
行政が対立し合う街に帰る。ラジオに飛び交う煩わしい単語が実際にひしめいてぶつかってくるような街に。(エンジン切るタイミングからしてマークはちゃんと聴いてるんだろうね) ネオンに光る"BAD DAD"の文字は見間違いか?
2人もまた別々の居場所に帰る。旧友との"使い古された"関係がどうしてかこんなに哀しい。実際はめちゃくちゃ愉しいはずなのにね。これからは帰省するたび「OLD JOYみが深い」と言わせてもらいます。

音楽とワンちゃんも画面に惹きつけてくれる欠かせない要素だった。DVD欲しい。
ひだり

ひだり